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「こども食堂やってる」と聞きつけた子どもたちの憩いの場へ―。 TWO FINGERSが思い描く「お店のこども食堂」の今とこれから
池袋駅西口から徒歩10分ほどの「TWO FINGERS(トゥフィンガーズ)」。ホップのツタをくぐり抜けると、隅谷 尚子さんとラヴェル ステファンさんが選りすぐりのクラフトビールを揃えて出迎えてくれます。一見、“大人のたまり場”に見えたここで「お店のこども食堂」が始まったのは3年以上前のこと。今では80回以上もの開催に至ります。開催に至った経緯から、そこへ込められた思いを隅谷さんにお聞きしました。
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TWO FINGERSを営む隅谷さん(写真左)とステファンさん(写真右)
~ ボランティア時代の手間がかかるもどかしさから「みせしょく」に出会って ~
隅谷さんは以前からこども食堂に携わったことがあったと聞きました。
そうなんです。お店を始める前にも、ボランティアでこども食堂のお手伝いをしていたことがありました。そして正直なところ、企画して周知して、当日運営して…という苦労をひしひしと味わっていた身です。
具体的にはどのようなことがネックだったのでしょうか?
例えば場所一つ取っても、調理をするには火を使える場所でなければいけないですし、どこかいい場所が見つかっても当日来られるスタッフが集まらなければ意味がない。じゃぁ何人くらい来て、何人くらいの人手が必要で、食材はどれくらい…?って、1回ごとに考えなければいけない。色んな手間がかかるゆえに、社会貢献をしたいという思いがあってもなかなか実現できないもどかしさを感じていました。
思い思いの居場所を見つけ、ステファンさんが集めているけん玉で遊ぶ子供も。
それでもご自身の店でこども食堂をやろうと思ってくださったのですね。それはどうしてだったのでしょうか?
自分のお店を持つときに、まずテンポイノベーションさんから物件を紹介いただいて。そのご縁で、ある日「お店のこども食堂」の案内を受け取りました。するとちょうど私が感じていた準備などの課題に対して「飲食店には、お店という場所があって、設備も食材もある」ということが書いてあったわけです。そうだ、私もここでやればいいじゃんって。
店前のホップの蔦をくぐり店内へ(左側)
入口に貼られた今日のメニュー(右側)
それで始めてくださったのですね。今はどのような頻度でやっているのでしょうか?
週1回、毎週木曜日に開催しています。こうしてお店の前にも案内を貼り出して、ちょくちょく来てくれる子もいますね。実は始める前は毎日でもいいなと思っていたのですが、岩﨑さん※に「あくまでボランティアでやっていただくことですし、プレッシャーになりすぎるのも良くないですから」とアドバイスをいただき、この頻度に落ち着きました。 ※株式会社テンポイノベーション「お店のこども食堂」プロジェクトリーダー
~ 子どもたちに開催が伝わった時に、ちゃんと開いている場でありたい ~
お店に来るお子さんたちを拝見していると、すっかり地域に馴染んでいる様子ですね。
おかげさまで、ここのところは利用者0人ということがほとんどなく、誰かしらがいつも来てくれるようになりました。それにこうして続ける中で、開催日でなくても顔を出してくれる子どもや、遊んで帰っていくような子も出てきて。成長も見守れますし、まるで地域のお母さんみたいな気分ですよね(笑)
そういえばコロナ禍でもTWO FINGERSさんは開催をやめなかったと聞きました。
はい、酒類提供NGでお店を開けられなくなった時期以外はずっと続けています。正直、緊急事態宣言下などで人が来なくなった時期もあったのですが、いざ来てもらったときに「やってなかった」ってなるよりいいかなと。それに子どもたちの間で情報が伝わるスピードって、恐らく大人のそれよりも緩やかじゃないですか。スマートフォンで一斉に送れるわけではないですし…そう考えると、子どもたちのなかで「(こども食堂を)やってるらしいよ」っていうのが伝わった時に、ちゃんと開いている場所があった方がいいなと思ったんです。それこそ私たちは飲食店ですから、もし作ったものが余っても、Barを利用しに来たお客さんに出すことだってできます。
クラフトビールを振る舞いながら、お店全体へ気を配るお二人
お子さん思いで運営されていることがひしひしと伝わってきます。逆に困ったこと、苦労している点などは無いのでしょうか?
どのくらいのこどもが来てくれるかは、毎回読めないですよね。だいたい4~8人くらいの間なのですが、やってきた中では予想以上の人数が来てくれたこともあります。あとは子どもにも学校や塾、習い事などの予定がありますから、「18時までにはここを出たい」なんてリクエストをもらうこともあって。もうそうなったら、ありもので慌てて用意します(笑)
子どもから大人までが肩を並べてバーカウンターで話す。TWO FINGERSでは見慣れた光景だ
まさしく塾に送り出すお母さんのようですね!
本当にそんな感じです。でも、そうやって臨機応変に対応できるのが飲食店の強みですし、いろんな出来事を楽しみながら続けられているように思います。
この日はお客さんが好意で作ってきてくれた角煮が登場した
~ いつか子どもたちにも自分の作ったものを食べてもらいたい ~
こども食堂をやってきて、印象に残っていることはありますか?
一つには絞れないくらい、色々ありますね。毎回顔を出してくれる子もいれば、こども食堂がない日もお店の扉をガラガラっと開けて学校での出来事を報告してくれる子もいて。最近こうしてけん玉を飾るようになったのですが、ステファンとけん玉で遊んでいる子どもの姿も見かけます。ぶらっと遊びに来てくれるのも、場が和みますし嬉しいですね。
今日もこうして複数のお子さんたちがいらっしゃってて、他のお客さんとも分け隔てなくしゃべったり食べたりしている姿が印象的です。
今後に向けて、こういったことをやりたい!といった目標はありますか?
私たちが作った料理を提供するのもいいですが、子どもたちが自分で作ったものを食べるっていう経験もしてほしいなと思っていて。いつか手巻き寿司のような体験型の会ができたら嬉しいです。お店の営業もありますし、なかなか簡単にはいかないかもしれませんが、普段とはまた違う思い出ができて、何かしらその子の中に残るような場所になれたらと思っています。
TWO FINGERSのお二人と「お店のこども食堂」プロジェクトリーダーの岩崎
Two Fingers Craft Beer(トゥフィンガーズクラフトビア)こども食堂
開催日:毎週木曜日 16:00~20:30 ※先着20名
参加費:中学生以下100円 付添の大人200円
場 所:東京都豊島区池袋3-54-2
最寄駅:池袋駅 徒歩10分
URL:お店の情報はこちら